ajaxの本質は「脱・紙芝居」

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2005年2月18日にAjaxという概念が提唱されました。弊社は、それ以前から現在まで、ほぼajax専業のノリで仕事をしており、お客様とお話していくなかで、お客様が"ajax"に求めるものは「脱・紙芝居」のコンセプトであると確信しました。エンジニア以外の人にとって"ajax"は「Google MapsとかGmailとかstart.comみたいなやつの総称」=「脱・紙芝居」という概念なのです。


この文章の想定読者



おもにエンジニアを想定しています。ajax採用を検討中の御担当者様などは、こちら(受発注のアドバイス)をご覧ください。

単語"ajax"の位置づけ

おすすめしたいのは、「ajax」を明確に定義された技術というよりも、「Web2.0」のような抽象的コンセプトを表現する言葉としてとらえること。そういう考え方で「ajax」に取り組むほうが有益ですよ、ということ。

結論から

「ajaxとは、従来の画面遷移の制約から解き放たれた、次世代のインタラクションの総称」「そういう概念を表す言葉」と考えるのが有益ではないかと思う次第。

その中核概念を、ひとことでいうと「脱・紙芝居」。

ajaxが解決したい問題

以下の内容をGarrettさんが技術的に解説しちゃったもんだから(もちろん"ajax"命名の功績は大きいが)、エンジニアの人たちを中心に「新技術」という認識のされかたになってきている。それを間違いだと言うわけではないが、あまり有益な考え方ではないと思っている。ちと困っている。(Garrettさんの名誉のために補足すると、彼も「Ajaxは技術ではなくデザインの問題だ」と言ってますが)

上記、画面遷移の制約、つまり「クリック操作で、1ページずつめくっていく」という(いまでもWebアプリケーションで主流の)インタラクション・デザイン(操作の設計)は、そもそもどこからきたのか?

「ハイパーテキストを読むための装置としてのWebブラウザとHTML」を、そのまま「アプリケーションの実行環境」として流用したことの名残ですね。

でも、デスクトップ・アプリを見ればわかるように、本来そういう紙芝居的なインタラクションのほうが特殊。(Word, Excel, PowerPoint, Photoshopなど想像してください)

誤解を恐れずに言えば、「HTMLの負の遺産」なわけです。

ajaxとは、「それを断ち切ろう、負の遺産を捨てて、ゼロベース思考でWeb上のソフトウェアを考えよう」というコンセプトだと考えるのが有益でしょうと。
※「ゼロベース」って、うちの造語じゃないです、念のため。参考までに。
ゼロベース思考とは?「ゼロベース思考の問題解決手法では、まずはこれまでの習慣や常識を疑って、破壊することから始める」

「クリックしたら次の画面」というインタラクションは、大昔のキャプテンシステムと一緒じゃん、って知らない人のほうが多いか。いまもある例でいえば銀行のATM/CDです。あとゲームブックってのも。

より深くajaxの採用を検討するときには、Webブラウザの2つの側面、つまり「HTMLを読む装置」と「アプリケーション実行環境」という2つの側面について理解することです。例えば「アプリケーション」と割り切ってしまえば、いっさい「URLに一意性がない」うんぬんの問題とはオサラバできますし、逆もまたしかり。

手段と目的の混同

ajaxの解釈の仕方には、有害な例も。例えば「ajax=XMLHttpRequest」と思って、意味も無く非同期通信をしているもの。それにより、余計に使いにくくなっているものとか。。。

そういうのを見ると、まだまだ啓蒙が足りない気がしてしまいます。

よって、ajaxの本質は「脱・紙芝居」(的インタラクション向上)ということを、もっと啓蒙していきたいと思います。


追記

こういうこと書くと、「おまえらはまともなWWWの概念を理解してない」、とか批判されそうなので、補足します。

WWWの基礎的概念と「脱・紙芝居」的概念

弊社はXHTML+CSSでの「正しい」マークアップを重視しています。

要は「守・破・離」です。まずは基礎と応用はベストプラクティスに習って、標準を身に着けることが大事。

「正しい」ウェブページの作り方を知ったうえで、ajaxなサイトを作るときには、「それって本当にウェブページ?ハイパーテキスト?」という自問をしてほしいわけです。「そのダイナミックなアプリケーションが、ほんとにドキュメント(文書)といえるわけ?」という場合もありえる。

そういう観点で、「ドキュメント対アプリケーション比率」を、サイトごと、ページごとに検討しましょうね。ということ。白か黒かではなくグレー、ブレンド(比率)が大事といいたい。

だから、Web屋さんは、「何%くらいajaxを取り入れるか」(この場合の"ajax"は「アプリケーション的要素」程度の意味)と考えてみればいい。逆に(Web以外の)ソフト屋さんは、「何%くらいWWW的要素を取り入れるか」を考えてみればいい。

「ハイパーテキストの負の遺産」などの文句などが派手なので極論に聞こえたかもしれませんが、極めてまっとうな正論を言ってるつもりです。

※「啓蒙」という意図のため、印象に残りやすい言葉を選びました。

受発注のアドバイス

こういう本質を理解した業者であれば、「ajaxなサイトを作りたいんですが」という依頼に対して、かならずしもJavaScriptで作るのではなく、FlashやJavaAppletやShockwaveや独自プラグインやインストール型アプリなどの代替案を提案すると思います。場合により、「これ動かしても意味ないし、お金かける場所でもないので、静的なページにしましょうよ」という提案もする。それがプロフェッショナルとして当然のプロ意識、プロ倫理ですから。

これは同業他社を利するアドバイスになっちゃうんですが、お客様から「ajaxください」と言われたら、上記のような代替案も含めて検討すること。お客様が使う"ajax"という言葉の意図は、「脱・紙芝居」なのですから。技術は手段に過ぎず、ビジネスの目的に沿った問題解決手段(=技術)を適切に選ぶのが、業者の務めです。

さらにいうと、そもそも「どんなインタラクションを提供するか」という観点が最重要。インタラクション・デザインが本質です。なので「インタラクション」がわかってない業者はNGですね。(参考:機能はデザインに従う

逆に、発注側の方は、そのへんのやりとりから、まっとうな業者かどうか見抜いてください。


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Flash技術による次世代のウェブ体験です。スゴイ地図 by RECRUIT とにかく触れば分かります。明らかに「異質」です。いままでに無い体験。 だからこそ、賛否両論が生まれます。しかし、それは新しい試みにつきまとう宿命です。かならず批判する人はいる。だが、それに負けず、妥協せず、尖ったままでいて欲しいと思います。 とにかくすごい。意欲的な試みであり、エールを送りたいと思います。 関連URL(掲載記事等) プレスリリース ITmedia News:Flashを多用した「スゴイ地図」 雑誌プランナーの日記 - 皆様にご報告☆できちゃいました!!! たたみラボ... 続きを読む

コメント(4)

DATE: 2007/10/30 15:42:40
「脱・紙芝居」という表現がとてもおもしろいですね。

DATE: 2006/06/25 23:33:22
ウェブを4月から勉強しています。Ajaxを検索してこのページにたどりつきました。その事だけでなく、いろいろと参考になりました。また、チェックさせてもらいたいと思ってます。

DATE: 2006/02/24 15:45:22
Webでリアルタイムな情報配信を考えた時に、知人から頂いた案が「Ajaxライクなのは?」というものでした。
もともとこういったものには疎く、探していたところこのページを見つけました。
発注側としてどういう風に理解すべきかをもう一度考えてみます。
ありがとうございました。

DATE: 2005/12/31 13:49:14
「どんなインタラクションを提供するか」という観点が最重要。まさにAjaxの本質はそのあたりにありそうですね。
URLに提示させていただいたツールは、コミュニケーション・インタラクションの世界を180度変えるものです。
ご意見をいただければ幸いです。

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