デザイナに何を求めるか。
"Getting Real by 37signals"の当社製サマリから引用する。
■5-2 It just doesn’t matter(それは重要ではない)
偉大なデザイナーとは特別なスキルを持っている人間というわけではない、ただ一つ、「何が重要でない要素かという事を決定できる人間である。」
Campfire(※注:グループチャットソフトウェア)を作成した時以下の様な質問を受けた。
- 「なぜ、時間表示が5分おきなのか?タイムラインに従って正確に表示するべきでないか?」
- 「なぜ、ボールドやイタリック、あるいは色文字が使えないのか?」
- 「チャットルームに居るメンバー数を表示しないのか?」
- Answer1.
- 1分おきに時間を確認したり気にする人など居ない。5分おきで十分。
- Answer2.
- 強調したいことがあればCAPSLOCKで大文字を使うなどすればいい。
- Answer3.
- せいぜい15,6人のユーザーを想定している。その程度なら、数字を見なくてもわかるはずだ。
■5-3 Start with No (Noを言う事から始めよう)
機能を追加するという提案に対し、イエスマンなってはいけない。機能追加によってデザイン、制作、テストと3つのタスクが増えてしまう。残す機能は厳選を経た真の生き残りだけになるべきである。
ユーザーに不満を言われたら、一体なぜ、今までそのアプリケーションを使っているか問いただしてみよう。
これを書いた37signals社は、"simplicity"をデザイン哲学としている。だから、そういった傾向はあるものとして読んだ方がよい。
今回の論旨とは異なるので、そういったテクニカルな話はここまでにして、避けておく。
上の文章で言われているようなデザイナの仕事を、ゼロベース流に言えば、「目標を見据えて考える(GOAL-directed THINKing)」ということになる。それについて書きたい。
THINK!
常識を疑え。
すべてに疑問を持て。
「なぜ?」「なぜ?」「なぜ?」と問い続けろ。
突き詰めて問い続けろ。
「常識」を突破しろ。破壊しろ。人よりも深く掘れ。
結局、どこまで深く掘れるかが、差になる。
GOAL?
- なぜ(why)? (それをする必要があるのか?) ⇒理由・根拠
- なんのために(for what)? (それをする必要があるのか?) ⇒目的・達成したいこと
以上の二点をおさえておく。
結果として「何を考えるべきか?」つまり「目標(GOAL)」を設定する。
正しく目標(GOAL)を設定せずに始めた仕事は、正しい評価を得られない。
この「目標(GOAL)」が、「考える(THINK)」うえでの軸になる。
GOAL-directed THINKing
目標を見据えた思考。THINKとGOALの意識は両輪。
GOALあってのTHINK
さあ、デザインよろしく。考えろ。といきなり言われても、何を考えていいか分からないだろう。
そんなとき、まず、すべきことは何か?考えてみて欲しい。もう答えは上に書いてある。「何を考えていいか分からないとき」に、何を考えるべきか?
「何を考えるべきか」を考える(pre-thinking)。それしかないにきまってる。
「なぜ、なんのために、何を考えればよいのか?」という「原点」に立ち返って考えろ。これをしっかり理解する。理解できるまで考える。質問する。質問しまくり、考えまくる。もし誰からも答えが与えられなければ、クライアントやチームと一緒になって、自ら産み出す。見いだす。
そうすることで、「考えるべきこと」つまり「目標(GOAL)」が見えてくる。
そうすれば、あとは「考える(THINK)」だけだ。簡単だ。決して楽ではない。深く考えることは苦しい。ただ、目標(GOAL)が明確な道のりだ。どんなに苦しくても大丈夫。簡単だ。
GOALが決まったらTHINKするのみ
「考えるべきこと(GOAL)」が決まったら、とにかく考える(THINK)だけだ。
「もう無理」というところまで考えろ。
限界まで深く掘ったら、さらに深く掘り下げてみろ。
人が考えたことがないところまで、深く考えろ。
さもなくば、君は「ありきたりなアイデア」しか得ることができないだろう。
画期的なアイデアに辿り着きたい意欲的なデザイナのみなさん、(1)最初に「何を考えるべきか」を考えること、(2)深く深く考えること、この二つを極めて欲しい。
関連リンク
- アイデアは「肚(はら)」で出す
- あああああ
- デザイナは「全体」を考える
- デザイナの空洞化
- 本記事の番外編:手を動かす前に、考えろ
- エンジニア向け:プログラマーキテクト(※老害注意)
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