デザイナの仕事の進め方について(非デザイナ向け)

日々「デザインという仕事への理解」を啓蒙している。今日はデザイナーでない方々に参考になりそうな記事を見つけたので紹介する。→あるデザイナーが一つのロゴを作り上げるまでのデザインプロセス | P O P * P O P



このデザイナーさんは「デザインの仕事は2時間で終わるか5日かかるかわからない」と言っていますがそのとおりなのでしょう。クリエイティブな仕事ではありますが、なかなか大変そうです・・・。

やり方の個人差はかなり大きいと思うが、「デザインの仕事は2時間で終わるか5日かかるかわからない」は共通だと思う。

ゼロベース社の場合は、後述のように時間をかけているので、時間軸が違うが。「デザインの仕事は1週間で終わるか3ヶ月かかるかわからない」といったところだ。

例えばゼロベースでは「ロゴをデザインしてもらいたいんだけど」という依頼が来た時点(オリエン)で、「なぜ、するのか?」「なぜ、いまなのか?」といったヒアリングを深く突き詰めて行う。デザイン前の工程(pre-design)に重きを置いているから。参考→手を動かす前に、考えろ

余談だが、「ロゴ」といえば、中西元男氏だろう。早くから「デザイナ」ではなく「デザインコンサルタント」と名乗り活動されている先駆者だ。いわゆる(事業戦略系)コンサルタントの人でも、この人の仕事と自分を比べてみて、どうだろうか?

いわゆるプランナー、コンサルタントという職種の人にこそ、こういた「デザイン・コンサルティング」の事例を知ってもらいたい。「デザイン」がいかにビジネスを変える力を持っているか。

余談は以上にして、話を進める。

オリエン、十分なヒアリングをうけて作ったものを提出する。クライアントの意見をもらう。クライアントも頭の中にイメージが無いからこそ、デザイナに依頼しているので、提出されたものを見て初めて具体的に考えることができる。

つまり「第1案」というのは、「それで問題なければOK」といったものではなく、「それを提出して初めて具体的な議論が始まる」と考えた方がよい。

会議資料のようなものだ。ただ、PowerPointではなくIllustratorとPhotoshopで作っている。

なぜ「第1案」が「採用案」にならないか。そもそも「作るべきもの」が決まっていないのだから、「議論を深めるプロセス」のために手を動かして、目に見えるもの(≒たたき台)を提出し、クライアントにより「自らの要求」を具体化してもらう、という進め方だから。

たたき台、ラフ、半完成品(プロトタイプ)をもとに、クライアントの意見を引き出し、取り入れ(一部は議論した上で取り入れない)、また提出する。それを何度も繰り返す。

※ちなみに、クライアントの要求を「はい、はい」と全部取り入れるような仕事のやり方は最悪だと思う。プロではない。「やっつけ」意識だ。

これは「プロトタイピング」という進め方だ。

当然ながら、こういう繰り返しには時間がかかる。だからデザイナでない方々は、「デザインには想像以上に時間がかかる」と思っておいた方が良い。とかく低く見積もりがちだ。

もう一つ、実際に絵を描いた数の何十倍も頭の中では考えているという点も考慮してあげて欲しい。将棋の棋士が頭の中では百万通りの手を考えて一手しか指さない、というのに近い。

また、プロ意識の持ち方にも個人差がある。「プロは、これしかない、という一つの案だけを提出する」という考え方のデザイナもいる。(そういうプロは、だいたい良い仕事をすることが多い)

だから、「提出された案の数で、仕事量を測る」という愚は犯さないようにしてもらいたい。提出しないところで無限の可能性について頭の中でシミュレーションし、実際に手を動かしたものについても、たった一つの提出案以外はすべて捨てているのだ。

むしろ、いずれにも確信が持てないので複数案を出してクライアントに選んでもらうという場合もある。それは良くない。

ただし、「議論を進めるためのたたき台」として、目に見えるものを見せることで、クライアントからより具体的なフィードバックを引き出して、要求を具体化していく、という進め方もある。いわば「ヒアリング」のプロセスだ。

ヒアリングは、最初に一回だけすれば済む、といったものではない。「クライアントの要求・要望を完全に引き出しきるまでやる」べきだと考えている。それには実は工期の半分くらいかかってもおかしくない。それほどまでに「クライアントが自分の要求を具体的に理解する」ことと、「クライアントの要求を正確に理解する」ことには、時間がかかるのだ。

※同じクライアントと継続して仕事をする場合は、そうした点でメリットが大きい。言わずとも分かる部分(暗黙の了解)が大きくなってくるからだ。その意味で当社ではクライアントとの長期的パートナーシップ(継続取引)を主体にしている。第2、第3の案件からが本領だと思っている。

このように「一案しか出さない」とか「複数案を出す」といったことではデザイナの実力を評価できないこともお分かり頂けるだろう。

一つだけ確信しているのは、そういう「進め方」について疑問を持ったクライアントは、質問したほうがよい、ということ。また、デザイナ側も進め方について説明した方がよい、ということだ。

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