Webサービスへの予算配分は、既存ユーザを大事に、新機能追加よりも既存部分の改善を

提供者として新機能開発ばかり考えがちだが、多くの利用者は既存機能の改善や不具合の解消を望んでいる。

簡単なことなので、あらためて言うほどのことでもなかったりしますが「既存ユーザを大事にしましょう」という話を延々と書きます。

既存ユーザの不満な部分があるのに、新機能追加を優先するとどうなるか?

例えば、コミュニティサイトにおいて「日記」というコア部分に対する「読みにくい」「編集しにくい」「検索しにくい」といった不満が多いとします。そんなときに、それとは関係ない「音楽ダウンロード販売ができるようになりました!」などのニュースに対して、ユーザの反応は?

「この会社は、ユーザの声を聞いてないんだな」って思われてしまいます。

ここでコミュニティサイトの例をあげたのは、よりリスクが高いからです。「使わなくても済む」ような娯楽に近いものなので、不満は致命的であること。そしてコミュニティのクチコミで不満が増幅・伝搬すること。

その結果としてユーザの利用頻度、リピート率が下がるおそれがあります。要するに退会数、離脱率が上がります。これは困った事態ですね。

なので、まずは既存部分を改善して、ユーザの不満を解消するところに予算を投下しましょう。そのうえで、既存ユーザが十分に満足してくれたあとで、新機能を追加する。まあ並行でもよいのですし、新機能追加と既存部分の改善を同時にやる「リニューアル」でもいいんですが。

ダイレクト・マーケティングに喩えて

通販などに代表されるダイレクト・マーケティングの基本というのは、小さなトライアルでコンバージョンを上げてから、大きな集客費を投下する、といったものです。

ザルに水を入れても仕方ない、ということです。リピート率向上、離脱率低減のために、やるべきことをやってから、本格的な集客予算投下をすべきであると。

具体的な手法としては、小規模な集団や限定された地域でテストマーケをして、成績(反応率など)を見る。データから問題点が分かるようにA/Bスプリットなどのテストも仕込みますよね。

Webサービスではアクセス解析ソフトを使うことができるので、より詳細なデータが得られます。そういう意味でも、リリース後のほうが改善しやすいのです。ユーザの実際の行動によって欠陥部分を見つけやすくなるので。

IT投資としてのWebサービス開発

Web業界「広告系」と「IT系」の違い』に書いたように「Webサービス」はIT投資の対象で、けっこうROI(投資収益率)みたいな結果数字を厳密に(経営陣から)見られますよね。ですから、その意味でも「新機能追加よりも、既存部分の改善にまず予算を投じる」のが大事です。

というわけで、最初の立ち上げ・プロジェクト企画時点から、無茶な機能追加スケジュールを考えない方がよいかなと。ちょっと地味と思えるくらい、最初はスモールスタートがいいのではないかと。

まずは最小限でスタートして、少しずつユーザを増やし、そのユーザの不満を解消し、次の機能を追加し、それにより出た不満を解消し、また次の機能を追加する。

こういう地味な改善サイクル。地道にコツコツやる。それが結果的に支持を集めることになると思います。

ついつい「競合」のことばかり気になりますが、あまり気にしなくてよいと思っています。誰よりも「ユーザの支持を集める」ことを熱心に考えて、実現できたものが、結果として競合に打ち勝つことになると思います。

結論

ユーザは大々的な機能追加など望んでいなくて、地味な改善を望んでいる。

少なくとも目に見える/実感する不満点があるうちは、それの解消を真っ先に望んでいます。そういうもんです。

企画・提供側の人が忘れがちな点ですが、ユーザにとっては、いま実際に動いているものがすべて。「利用」イコール「支持」なわけですが、ユーザが支持しているのは、いまのものです。いま使っているものを支持しているのであって、新機能追加後の「より優れた」バージョンを支持するかどうかは分かりません。

ただ一つの真実は、「既存ユーザは、現時点のものを支持してくれている(不満はあるかもしれないが)」ということです。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://zerobase.jp/mt/mt-tb.cgi/208