Web業界「広告系」と「IT系」の違い

顧客企業のどの部署からどういう予算をもらうかによって「広告系」と「IT系」に分かれる。

「Web業界」には、じつはまったく異なる(違う業界といってもいいような)2通りの企業があります。それは「広告系」と「IT系」です。

系統広告系Web業界IT系Web業界
領域WebサイトWebサービス
キャンペーン特設サイト
ブランドサイト
コーポレートサイト
ポータルサイト
検索サイト
コミュニティサイト
ライフサイクル数ヶ月数年
業態Web制作会社システム・インテグレータ
業界広告業界IT業界
出自印刷デザイン
CM映像制作
システム・インテグレータ
ソフトウェア開発
取引構造クライアント
広告代理店
制作会社
下請け/パートナー
(映像、音声、写真など分野別の専門家)
ユーザ企業
ベンダー(コンサル/SIer)
2次請けSIer
3次請けSIer
多重請負構造
お財布マーケティング部門
マーケティング予算
IT部門
IT予算
対価制作物
例:ページ単価
工数・稼働
例:人月単価
高い会社トップクラスの会社は、アイデアやクリエイティブへの対価として、割高なフィーを得ている。コンサルティング・ファームは、スタッフの階級により異なる時間単価を設定し、割高なフィーを得ている。
業界風刺広告代理店を頂点とするヒエラルキー構造。
クライアントのマーケティング予算の大部分は広告枠の購買費にまわされる。Webサイトは「広告」の一部であり、対価は広告費に合算されて請求されている。Webサイトそのものよりも、広告枠に価値がおかれている面がある。
納品物は運用・保守の不要な「コンテンツ」であることも多い。
大手SIerやコンサル・ファームを頂点とするヒエラルキー構造。
Webサイト開発予算は、クライアントのWeb上での「業務遂行に必要なITシステムへの投資」と位置づけられる。(POS、SCM、ERP、証券取引システムなどと同等)
工数見積・人月単価といった予算管理によって、企画(アイデア)やクリエイティブに対する投資性向は低い
基本的に、納品後の「システム」は運用・保守が必要である。

※業界の実態を端的に表現するためのデフォルメです。ご了承ください。

最大のポイントは「お財布の違い」です。マーケ予算で広告としてお金が落ちているのか、IT予算として事業への投資としてお金が落ちているのかの違い。これを理解しないと実態がつかめない。逆に言えば、すべてこれを起点に考えれば説明がつきます。

これほど違う広告系とIT系を「Web業界」と一括りにできるはずもなく、別々の業界だと認識した方がよいです。それなのに「Web業界」と一括りにされているのが実情です。

これは業界外の人、例えば発注元企業の担当者にとっては分かりにくいことです。Web業界の会社のリストを見ても、そこにはこういう区別がなされていませんから、「広告系の会社にコミュニティサイト開発の仕事を頼んでしまった」とか「IT系の会社にコーポレートサイトの制作を頼んでしまった」とかいった失敗につながります。

そもそも、このような軸で分けて、名前を付けた人がいないのではないでしょうか。ここでは「広告系」「IT系」と名付けておきます。

今後は発注先を選ぶ立場の人が広告系とIT系の違いを意識してくれると良いですね。Web業界全体での発注ミスが減ると良いと思います。

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Web業界とネット業界の違い

※2012年11月26日追記:この5年間で、下記のような「Web業界」と「ネット業界」の明確な区別は無くなってきました。むかしは「Web業界」という言葉が「Web制作」と結びつけて語られ、「ネット業界」という言葉が「ネットベンチャー」という言葉と結びつけて語られていたのですが。

なお、ヤフー、ミクシィ、はてななどは今回の表には含まれません。ここで呼ぶ「Web業界」には含まれません。Web業界から見れば、彼らは「クライアント」です(IT業界ではベンダーに対する「ユーザ企業」と呼びます)。

彼ら自身を括る呼び名は? 私は「ネット業界」と呼ぶのが適切かなと。マスコミも「ネット企業」と呼びますしね。

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「企業がWebサービスを作る」ということは、「商売の仕組み(システム)を作る」ということです。 例:事業としてのWebサービス Yahoo! Japan、楽天市場、mixi、はてな、モバゲータウン、ユニクロオンラインストア 反例:広告・広報としてのWebサービス ecotonoha、家紋ジェネレータ(綾鷹) 反例:個人、非営利のWebサービス 脳内メーカー、電子政府の総合窓口 ※そもそも「WebサービスではないWebサイト」も多く存在します。キャンペーンサイトやコーポレートサイトなど。それは上記のリストに入れてません。→参考:ネット業界研究(そもそも「ネット業界」... 続きを読む