社内経済におけるマネジメントという公共事業の民営化

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企業は全体主義であるが故に独裁者を必要とする」「ペナルティはインセンティブ/社内通貨/上司不要論/マネジメント2.0」「社内通貨の導入」の議論を、もっと分かりやすく近代企業マネジメント論に結びつければ「マネジメント・コストの最小化」および「マネジメントの属人性の最小化」であり、その(唯一ではないが)手段は「無人化・システム化」および「民営化・市場化」です。

「無人化・システム化」の方法として社内通貨を示しました。かなり有力だと思います。なぜなら、個人事業主はボスがいなくても働いているからです。従業員のバーチャル個人事業主化をするなら、手段として社内取引の貨幣経済化は有力であろうと。

「民営化・市場化」とは、マネジメントというサービスに値札を付けることです。もし上司が部下に提供している「サービス」に価値があるならば、値札をつけて「市場」で売ればいい。売れないなら、需要がないということです。価値を決めるのは市場です。つまり、買い手(部下)と売り手(上司)の需要と供給で価格の相場が形成される。これが「民営化・市場化」です。

「市場化」というと何か冷たい印象を受ける人もいるかもしれません。しかし、たとえば「ふれあい」も「市場」で売買できます。グチを聞いてもらうための社内カウンセラーや社内ホスト/ホステスや社内占い師も商売として成立するでしょう。それらすべての取引は、もちろん買い手にメリットをもたらします。

自由市場を通じた取引からは、常に両者(売り手・買い手)が利益を得ます

対価を払えば無理なグチも聞いてもらえるので、今よりもサービスが向上する。さらに、今は提供されていないようなサービスも開発・提供されるはずです。趣味が高じて社内アロマテラピスト、リフレクソロジストなどが出てくるかもしれない。社内で勤務時間中にアロマテラピーやリフレクソロジーが受けられる会社は少ない。おそらく、そういうイノベーションが起こる。

市場経済と計画経済の際だった違いに「イノベーション創出機能」があります。ニーズをかぎ取り商品を提供する起業家精神アニマル・スピリットを呼び起こします。

社内市場経済は個人の創造性が花開く土壌になるはずです。例えば、ふだん「お客様」と直接の接触がない庶務のスタッフでも、才能を発揮して社内経済で「カウンセリング・ベンチャー」として活躍するかもしれない。その人にとっては同僚が「お客様」になります。事業が拡大すれば、社外に売れるくらいになるかもしれない。会社にとっては新規事業が生まれたことになる。分社化して社長になってもらえばいい。このように、計画経済に対する市場経済のイノベーション創出力を社内に導入できる可能性があります。

次に、民営化について。必要なサービスは市場で提供されるはずです。提供されてないサービスがあれば、自分が起業家精神を発揮して提供すればいいだけのこと。あるいは、ニーズを声に出して社内メーリング・リストに投げればいい。すべてのニーズが満たされることはないが、民営化前と比べれば多くのニーズが満たされるに違いない。従業員の厚生は改善します。

となると、「税金」を使って「公共サービス」をする意味は何か? 経済学者は「公共事業は民間より非効率である」と言うでしょう。いちど始めた公共事業には利益団体が食らいつき、なかなか浪費が止まらないという指摘もあります。

上司を見て「高給取りのくせに仕事をしていない」と思っている部下は、どれくらいいるでしょうか? このような不満も、価格を明確にして、取引を自由にすれば無くなります。これが「マネジメント」という名の公共事業を民営化・市場化するメリットです。逆に、そう思われていることを自覚している上司にとっても、価格に見合ったサービスを提供することで「ほら、やっぱり俺がいないとダメだろう?」と立証するチャンスです。そこには「もらいすぎな上司」も「払いすぎな部下」もいなくなります。

ここでも手本は個人事業主です。個人事業主はセルフ・マネジメントしています。そして、自分に必要だと思ったら、金を払ってコーチングなどのサービスを購入します。(私も個人事業主のときにはコーチングを買うかどうか真剣に検討したものです)

ペナルティはインセンティブ/社内通貨/上司不要論/マネジメント2.0 (ZEROBASE BLOG)

そこに「通貨」はない。ゆえに「価格」もない。つまり「自由市場」がない。公共サービスの対価として税金を払うのと同じです。我々は政府の仕事が民間より非効率であると知っている。従業員は上司・経営陣の提供する「サービス」が、市場で代替可能なサービスよりも効率的だと考えるでしょうか?

※断っておくと、私がこうして書いているのは、知的好奇心とか、思考実験とかではありません。すべて当社における実践を前提とした理論です。進行中の実験に関する情報公開によって、社外のアドバイスを求めることや、この主旨に賛同してくれる仲間(ここで働きたいという人も)を募ることが目的です。

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いつも勉強させてもらっています。

この仕組み作りは新しい企業のあり方としてとても興味があるのですが、社会規範のコストという新たな問題が出てくるのではないかとも思います。

「予想通りに不合理」という本で読んだのですが、社会的交換に市場規範を導入すると、社会規範を逸脱し、人間関係を損ねることになるという問題です。

お金には換算されていない善意をお金に換算してしまうと上手くいかない可能性もあるので、このへんのバランスをとるいい方法が思いつかないです。

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このブログ記事について

このページは、ishibashiが2009年2月16日 13:10に書いたブログ記事です。

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