進化、自由、知識、一粒の麦

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挑戦には公共的な価値がある:

仮説検証は、人が生きる上で非常に重要です。それがなければ、人は失敗から学べない。僕はいま、企業や組織、働き方という領域で仮説検証を繰り返しています。その領域でオルタナティブな提示がしたいのです。

(筆者インタビュー記事:「自分で自分の面倒をみる人が得をする」組織づくり − @IT自分戦略研究所

生物の遺伝子は、数多くの組み合わせが試された結果、最適なものが残る(ダーウィニズム)。

進化は生殖のサイクルに規定される。その証拠に、ショウジョウバエを50年飼育したら進化したという研究がある。ショウジョウバエの生殖サイクルは、ヒトより短いから、ヒトより早く進化する。

ショウジョウバエの寿命は約50日。1400世代は、人間なら3万〜4万年に相当するという。

2009年12月8日  読売新聞

生物としてのヒトは「生まれて、成人して、子供を作って」という遺伝子のサイクルで進化するわけだけれども、言い換えれば、進化の速度が生殖サイクルによって制限されている。

ところが、人間は、それを乗り越えることができる。

人間は「理性と自由意志」によって、本能に反する行動を取ることができる。その結果が成功か失敗かはともかく、数多くの試行ができる。そのうえ、実際にやってみなくても、脳内でシミュレーションできる(これは多くの動物にはできないことだ)。

人間は毎日何度もの「試行錯誤」や「シミュレーション」を通じて、より早く<進化>できる。危険を回避するための知識が増えて、死の危険が遠ざかる。

ダーウィニズムによると、「本能(遺伝的プログラム)に基づく行動が、より死の危険を回避できる種」が繁栄してきた。ならば、「理性と自由意思」によって「死の危険」をよりうまく回避できるようになった人類は、それ以前より<進化>したといえる(これはダーウィニズムの「進化」そのものとは異なる比喩だから、カッコ付きの<進化>と表記する)。

ただし、そのようにして個人が得た知識は、そのままでは遺伝しない。一代限りだ。そこに<進化>は無い。そこで、人類は言語によって知識を保存・伝達・共有してきた。言語によって、個人の得た知識が、人類の知識になる。つまり、言語によって、人類は<進化>する。してきた。

個人が「未知の領域」へ踏み込み、そこで得た知識を持ち帰り、言語によって共有する。人類にとって「既知の領域」が拡大する。もちろん、子孫もその知識を使うことができる。このようにして人類は<進化>する。

生きている間に様々なこと、とくに「誰もやったことがないこと」に挑戦して、その結果ー失敗にせよ成功にせよーを共有することは、人類の<進化>につながる。

そのうえで、自分は、どう生きるか。

どうせ死ぬのだから、生きている間に「命を何に使うか」を考えたい。文字通り「使命」ということ。金も記憶も、死んだら残らない。自分は失われる。では、価値あるものは何か。

思い切ってやってみることですよ。 どっちに転んだって人間、野辺の石ころ同様、骨となって一生を終えるのだから。
坂本龍馬

どうせなら、誰もやっていないことに挑戦したい。失敗を恐れずに。失敗して死んでも、何か残ればそれでいい。どうせいつかは死ぬんだから。

はっきり言っておく。一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ。自分の命を愛する者は、それを失うが、この世で自分の命を憎む人は、それを保って永遠の命に至る。

ヨハネによる福音書12章24~25節 ※立教大学ウェブサイト)

そこで冒頭の言葉。「仮説検証は、人が生きる上で非常に重要です。それがなければ、人は失敗から学べない」と。無駄死にか、一粒の麦か。自分が失敗しても、人類にとっては<進化>だとすれば、失敗を恐れることはない。

Success is a journey, not a destination. The doing is often more important than the outcome.

Arthur Ashe

もしこのインターネット革命の波に乗れたにもかかわらず、乗らずに80歳を迎えたとしたら、悔やんでも悔やみきれないほど「自分はアホだった」と後悔するに違いないと確信したのさ。そうなったらぜんぜんリスキーなんて思わなくなった。すぐ行動したよ。

Jeff Bezos ※Amazon.com創業者

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