ウェブ制作会社を活用するベンチャービジネスのスキーム案

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前回の記事(プロトタイピングに適した受託契約形態)のように、受託ビジネスにおいてプロトタイピングを可能にする契約方式について、ずっと模索してきました。さらには、「受託」契約から一歩踏み込んで、「共同事業」「提携」のスキームも模索しています。なぜなら、良いものを作るためにプロトタイピングするなら、そもそも受託契約でないほうが良いからです。
収益を生むウェブサイト、事業としてのウェブサービスを作ることが多いので、新規事業の提携スキーム、資金調達スキーム論として、何か新しい工夫ができないだろうかと。 (※以下「制作会社」と一般論のように書いてますが、ほとんど「ゼロベース」と読み替えて頂いて結構です。当事者として書いていますので)

頻繁にベンチャーのウェブサイトを見ますが、「着想はいいのに、サイトがダメすぎてユーザーがすぐ帰ってしまうだろうなあ」と思うことが日常茶飯事です。

日本では、ウェブ制作会社出身の起業家が少ない。プログラミングはともかく、デザインは我流だったりします。あるいは、すごく安く、適当な人に丸投げしてしまう(ディレクション能力がない)か。そのため、企画や技術はよくてもウェブサイトの設計・実装に失敗している例は少なくありません。

ですから、制作会社でもある(コンサルでもある・システム開発会社でもある)ゼロベースとしては、看過したくないのです。良い企画や、良い技術があるならば、ウェブ制作会社に頼んでほしいと思うわけです。ゼロベースはWebビジネス、ベンチャービジネスへの理解に自信があります。

■ロイヤリティ

有望なのは、ロイヤリティ型。フィーを頂かないか、または頂くとしても請負よりは少なめに。その代わり、制作物の権利を持つ。提携相手に販売を委ね、印税・ロイヤリティ型の報酬を得るスキーム。提携相手は、プロデュースやマーケティングを担当する、パブリッシャー/商社的な事業者。

これは工業デザインでは普通のスキームで、とくにヨーロッパで盛んなようです。著名なプロダクトデザイナーは、ロイヤリティだけで長期にわたって収入を得ることもあるでしょう。それが、さらに長期的な視野での製品開発(デザイン、プロトタイピング)を可能にしている、という正のスパイラルがある。

ロイヤリティ契約の利点 - 木全賢のデザイン相談室

■ロイヤリティ契約とやる気

 そして、ここがポイントなのですが、デザイナーから見ると、この方式は、凄くモチベーション(やる気)を刺激されます。
 確かに、開発期間は、少ししかデザイン費を頂けず、苦しいのですが、ここで頑張って、いいデザインをすれば、後からロイヤリティとして回収できるわけです。
 デザイナーとすれば、自分のデザインセンスが、ロイヤリティの多寡で判断されるわけですから、気合を入れざるを得ないし、自然とモチベーション(やる気)も鼓舞されるわけです。
 このデザイナーのモチベーション(やる気)の向上は、企業にとっても、凄くいいことですよね。

■提携のプレイヤー

  • パブリッシャー、ハンズオン投資家、起業家、EIR起業家(事業の立ち上げを担当)
  • Web制作会社(企画・設計・開発を担当)
  • スポンサー(資金の出し手)
工業製品ならば開発元の提携相手はメーカー(製造・量産機能)ですが、ソフトウェアの場合はパブリッシャー的な事業者です(出版社的・商社的な)。マーケティング(広告・販売)の機能が重要です。

事業プロデューサーも必要です。誰がするか。パブリッシャーが出す。スポンサーがハンズオンする。起業家やEIR起業家がやる。色々な形態が考えられます。

起業家・EIR起業家の場合は、その人の企画ありきでプロジェクトのメンバーを考えるのが自然です。


■資金繰り

このスキームを採用する上では、開発元の資金繰り対策が必要です。パブリッシャー側が最低数量のコミットメントをして前払いするなど。

ただ、それだけでは足りない場合もあります。そこで、開発元が資金調達する方法も考えておきたい。

Webサービス開発プロジェクト毎に500万円〜1,500万円くらいを調達する、映画の製作委員会のようなスキームを、模索しています。

映画ファンドのJDCが免許取り消しへ:映画ビジネスの難しさ|Next Big Thing!!

 第一弾のフラガールの奇跡的なヒットがあったものの、これは映画界にたまに起こる奇跡で、規模が小さい作品を宣伝してディストリビュートさせ、収益を上げていく新しい方法を考え出さないと、日本の映画界に未来は無いと思います。

これは日本の「ベンチャー界」と同様の構図かもしれません。投資資金は余っているのに、シードマネーは提供されていないという。

VCの機能不全−−−使い切れないほどのカネを持ち、シード・マネーを提供せず、投資に値する起業家がいないと嘆く−−− - ZEROBASE Journal

ベンチャー・キャピタルの資金はダブついているのに、投資機会が少ない。つまり、起業家が不足しています。私が考える致命的な原因は、シード・マネー(元手となる資金)の不足です。カネが余っているのに、必要なところに融通されない。これは金融の未熟、言い換えればフロンティアでしょう。

投資のダウンサイジング。フィジビリティ・スタディ、実証(proof of concept)、プロトタイプ制作のために必要なシードマネーの粒度に、投資額を抑えて、投資案件数を増やす。それにより、いわゆるベンチャーだけでなく、制作会社が、ベンチャービジネス (新規事業) に対して、単なる受託ではなく、主体的に関わっていくことが可能になる。制作会社には最初から「機能するクリエイティブ・チーム(開発チーム)」があるため、ベンチャー以上のスピードでproof of conceptを実現することができる。

これが、私の理想とするシード・マネー観です。

これを自ら実践していきたいと思うので、色々と模索しているところです。資金の出し手として興味のある方は、コンタクトください。

The best way to predict the future is to invent it. - Alan Kay

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