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起業家のメンタルヘルス調査レポート 起業家の37%に気分障害・不安障害の疑いあり 一般人の約7倍

2017-08-09

ゼロベース株式会社(代表取締役 石橋秀仁)は日本の起業家のメンタルヘルス(心の状態)についてインターネット上で調査を実施し、その結果「起業家の37%に気分障害・不安障害の疑いあり(※一般人の約7倍)」という結果を得ました。

起業家と一般人を比較したチャート
起業家の37%に気分障害・不安障害の疑いがあり、これは一般人の約7倍。

概要(エグゼクティブ・サマリー)

  • 日本の起業家のメンタルヘルスを調査したところ、37%が気分障害・不安障害の診断基準を満たすと推計されました。これは一般人の約7倍です。
  • 自由回答形式の調査であったため、回答者の代表性は担保されていません。それを踏まえても、気分障害・不安障害を抱えた起業家が少なくないことが推定されました。
  • 今後は、より精度の高い調査によって、実態をより正確に把握することが求められます。また、起業家に対する効果的な支援策・介入策の研究も求められます。本調査・研究に関心のある方はご連絡下さい。

調査の背景

起業家は事業経営上のストレスを抱えがちだと考えられますが、そのことを表に出すことは立場上困難だとも考えられます。つまり、起業家においてはメンタルの問題が露見しにくく、他者から把握しにくい状況にあると考えられます。そもそも、日本で起業家のメンタルヘルスに関する調査はなされてきませんでした。

しかし、国外では起業家のメンタルヘルスに社会的関心が集まりつつあります。 UCバークレー&UCサンフランシスコの調査によると、起業家の72%がメンタルヘルス上の懸念を申告し、とくに鬱とADHDは3割、物質依存と双極障害は1割、という調査結果が出ています:Entrepreneurship Research “Are Entrepreneurs Touched with Fire?”。(※「起業家になったからADHDになった」といった因果関係を直接示唆するものではない点には注意が必要)

このように、国外では「起業家はメンタルヘルスを損ねている」という調査結果が出つつあり、また社会の関心も高まってきています(※フォーブスフォーチュンガーディアンインクアントレプレナーハーバードビジネスレビューなどが取り上げています)。日本でも同様の「起業家のメンタルヘルス調査」が必要だと考え、今回の調査を企画・実施しました。

調査の実施

日本語での精度が検証済みであるスクリーニングツール(K6)を用いた公開ウェブ調査を行いました。2017年2月20日〜27日の期間、ゼロベース株式会社のウェブサイトで回答者を募集しました。

K6 の質問項目は、厚生労働省の国民生活基礎調査などで一般的に用いられているものです:

こころの状態についての質問です。次の (1) 〜 (6) の質問について、過去1ヶ月の間はどのようでしたか、あてはまるものを1つ選んでください。

質問:

  1. 神経過敏に感じましたか?
  2. 絶望的だと感じましたか?
  3. そわそわ落ち着かなく感じましたか?
  4. 気分が沈み込んで、何が起こっても気が晴れないように感じましたか?
  5. 何をするのも骨折りだと感じましたか?
  6. 自分は価値のない人間だと感じましたか?

回答:まったくない(0点)、少しだけ(1点)、ときどき(2点)、たいてい(3点)、いつも(4点)

回答の合計値が「9点」以上になった方は要注意です。

調査結果

  • 127名の有効回答を得ました。
  • 回答者の37%が気分障害・不安障害の診断基準を満たすと推計されました(※日本における大規模な有病率調査を踏まえ、起業家と同程度の社会背景を持った集団の気分障害・不安障害の有病率を5%と仮定(参考文献))。

調査結果についての要注意事項

回答者の代表性は担保されていません。ただし、それを踏まえても、気分障害・不安障害を抱えた起業家が少なくないことが推定されました。

調査結果をふまえての提言

今回の調査で、37%もの起業家がメンタルヘルス上の問題を抱えていることが示唆されました。今後は、より精度の高い調査によって、実態をより正確に把握することが求められます。また、起業家に対する効果的な支援策・介入策の研究も求められます。

不安を抱えている方へ

気になる症状が続くとき、生活に支障が出たり、つらい状態が長引く場合は、自己判断せずに、周囲の人や専門機関に相談することが大切です。最寄りの病院やかかりつけの医師に相談してみるのもよいでしょう。

引用:専門機関への相談や受診をするときは?(厚生労働省)

ゼロベース株式会社について

ゼロベース株式会社(代表取締役 石橋秀仁、東京都新宿区、2004年創業)はインターネットサービスの企画・設計・開発・運用を一括で請け負う企業です。また、代表の石橋は2005年からベンチャーキャピタルの顧問として多数のベンチャー企業を支援してきました。

本件に関するお問い合わせ先

企業名:ゼロベース株式会社
担当者名:石橋秀仁
メールアドレス:contact@zerobase.jp

(※大変恐縮ですが、当社は広報にかけられるリソースが限られており、電話でのお問い合わせには応じられない場合がございます。あらかじめご了承ください。どうかメールでお問い合わせくださいますようお願い致します。)


追伸:個人的な思いは石橋個人のブログに書きました:

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